【自転車旅エピソード】家から富士山の麓まで往復ツアー vol.2
続きまして。三日目、同じ道を通りたくなかったのでおじさんが教えてくれた海沿いのきれいな道で帰る。
走り出して気づいたこと、いや、行きの時から薄々感づいていたこと。
向かい風きッッッつ!
全然進まない。二日連続で200km以上漕いだこと、クロスバイクだからずっと姿勢が同じで、サドルに座れなくなるほどお尻が痛いことが重なって夕方ぐらいに自転車から降りました。心が折れたのです。
その時に自転車の後ろのカバンの中からアンパンが出てきました。昨日おじさんにもらったアンパンです。疲労から無意識で貪ると、細胞が喜んでいる感覚でした。
力が湧いて「よし、今日も200km漕ごう。絶対に。」と思いました。おじさんありがとうと感謝しながら何にもない道をひたすら漕ぎました。
18時で暗くなっているのにまだ60㎞も残っている。きついなぁ。でも漕いでれば必ずゴールできるので無心で漕ぎ続けました。
22時、泊まる予定の道の駅に到着。3日連続で荷物背負ってクロスバイクで200km以上走り続けたら、気づいたら寝てました。
朝起きたら自分の財布が外に置いてありました。いつもは寝袋の中に入れて寝るのに、その日は疲れすぎて寝袋の外に出したまま眠ってしまっていました。
そのまま走り出して水がなくなったので買いに行くと財布の中身が2千円しかない。
あれ?え?あれ? こんな少なかったっけ?
考えました。あ、寝袋の外に出して寝てたから盗られたんや。しかも1万円。
貧乏旅をしていて所持金1万五千円で出発して、節約したのに1万円盗られてあと二日を2千円で過ごさないといけない。なんやこれ。
それから走っている間も放心状態でした。
その日は160kmでもう終わりにしました。
その前にも信号待ちしてたら中国人のおじいさんに英語で話しかけられて話してるうちにメールアドレス交換したり。色々あったな~と思って160km地点の道の駅でテントはって寝ようとしたら、飲み会をしているお姉さんとおじさんと子どもたちに話しかけられました。
一言目は 「お兄さん何か飲みます?」
僕の返事は「あ、はい。」
最高です。最高のファーストコンタクトだと思います。
全くどこの誰かもわからない人同士が一言目から「酒飲もうぜ」って飲み会スタート。
話しかけてくれた人はお母さんで子ども二人連れて車でちょっと旅してる。おじさんは網走から熊本まで電車で旅行して、熊本で貴重品失くしたからヒッチハイクと歩きで網走まで帰ろうとしてる途中。僕は自転車で富士山見に行ってその帰り。
場所は三重県。旅人3人が偶然居合わせて始まった飲み会。全員クレイジー。最高。
そのお母さんはバイク(88年製のホンダNSR)で峠せめたり、20歳のころは一人でヒッチハイクで日本中周ってたり。そんな人が僕の旅トークを聞いて、「自分の息子たちもお兄さんみたいな人に育ってほしい。」と言われました。正直嬉しかったです。
おじさんはもう疲れたからと言って眠りにつきました。そんな感じで色々話してるとお酒も周り、お母さんが「あのおじさんの寝てるとこ見に行きません?」と言い見に行くと、お母さんはニヤニヤしながら寝ているおじさんのお腹の上にドカッと座りました。
おじさんは「うぅぅ」「おい、冗談じゃ済まねえぞ」ブチ切れました。
さっきまで仲良く話してたのにブチ切れて「一発殴らせろ」と言い出しました。
お母さんは「本当にごめんなさい」と何度か謝っておじさんの怒りを鎮め場はおさまりました。
そこでお母さんは一言「あの人やばくないですか?」
「いや、あなたもやばいです」
全員眠りにつき、朝起きたらおじさんはいなくなっており、お母さんに挨拶していただいた食べ物を朝ごはんと昼ごはんにして無事に2千円使いきらずに帰ることができました。